休職期間を経て少しずつ体調が上向いてくると、「早く元の生活に戻らなきゃ」「また働きたい」という前向きな気持ちが芽生えてきます。それは回復への大きなエネルギーであると同時に、思い通りに動けない自分への「焦り」に変わり、心を苦しめてしまうことも少なくありません。
「気持ちは前に進もうとしているのに、体がついてこない」
そんなアンバランスな時期をどう乗り越え、自分らしい働き方を取り戻していくのか。今回は、リワーク(復職支援)と訪問看護を組み合わせたサポートの活用法についてお伝えします。
1. リワーク(復職支援)は「働くためのウォーミングアップ」
リワークとは、休職中の方が職場復帰に向けて通うリハビリテーションの場です。
決まった時間に通所することで「通勤の体力」や「生活リズム」を取り戻し、プログラムを通じてストレスへの対処法やコミュニケーションの取り方を学びます。いきなり職場という「本番」に挑むのではなく、安全な場所で失敗や疲れを経験しながら、少しずつ働くための準備を整えていくための場所です。
2. 「外での練習」と「家での土台づくり」を両輪で回す
リワークに通い始めると、最初は想像以上に疲れを感じるものです。「こんなに疲れていては復職なんて無理なのでは」と、再び焦りが生まれることもあるでしょう。
ここで大切になるのが、リワークという「外での練習」を支える、ご自宅での「生活の土台」です。
訪問看護は、診察室と日々の生活の「隙間」を埋める存在として、この土台づくりをサポートします。リワークで疲れて帰ってきたあとの過ごし方や、睡眠状況、お薬の管理、そして日々のバイタルチェックを通じて、心身の両面から生活のベースを整えます。
3. クライシスプランで「自分のトリガー」を知る
モアケアの訪問看護では、復職に向けたステップの中で「クライシスプラン」を一緒に作成することを大切にしています。
復職へのステップを進める中では、必ずどこかで調子の波が訪れます。
• 「焦りが強くなってきた時のサイン(例:夜中に何度も目が覚める、食欲が落ちる)」
• 「疲れを感じた時の具体的な対処法(例:温かいお茶を飲む、スマホの電源を切る)」
これらを心に余裕があるうちに一緒に書き出し、「自分の取り扱い説明書」を作っておくのです。自分の不調のサインにいち早く気づき、自分でケアする力を身につけることは、復職後に働き続けるための大きなお守りになります。
4. 焦る自分を否定せず、一緒にペースを探しましょう
「早く治さなきゃ」と焦る気持ちは、あなたがそれだけ真面目に、一生懸命に自分の人生と向き合っている証拠です。その気持ちを否定する必要は全くありません。
しかし、回復のペースは一直線ではなく、三歩進んで二歩下がるのが自然です。
「今日は少し休みましょうか」「この方法なら無理なく続けられそうですね」と、時にブレーキをかけ、時に一緒に工夫を考えながら、あなたに合ったペースを一緒に探していくのが私たち訪問看護スタッフの役割です。
一人で焦りを抱え込まず、リワークや訪問看護という伴走者をうまく活用しながら、少しずつ「あなたらしい働き方」へと歩みを進めていきましょう。